HEXANON AR 40mm F1.8 (その10)

しばらく続いてきたHEXANON AR 40mm F1.8の連載(?)もこれでひとまず終わりです。やたら薄くてあっさりしていたり,妙に濃厚で重苦しくなったり,何かの拍子に不思議な表情をみせるレンズです。使いこなせばとても表現の幅が広がると思います。しかし,実際にはなかなかコントロールするところまでいかず,偶然に頼ってたくさん撮ったらたまにおっ,というような画が混じっているという感じです。でも確かに世評どおり(?)のおもしろいレンズだと思いました。

ILCE-7S / HEXANON AR 40mm F1.8
F2.8, 1/4000, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Dec. 04, 2020
かなり陽が傾いているのですが,なんでもない木のベンチを妙に濃厚に写し撮っています。空気の粘性が少し高くなったような,粘りが感じられます。このレンズで撮ったカットの中では私の中では一番印象深い画です。周辺光量ががっつり落ちていますが,50mm用のフードをつけていてケラれたという印象はなかったのに,このカットだけやたら周辺が落ちています。ケラれたのかレンズの素性なのか,もはやよくわかりません。

ILCE-7S / HEXANON AR 40mm F1.8
F2.8, 1/320, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Dec. 04, 2020
斜光での表情の捉え方がなんだか上手なのでしょうか。もちろん,斜光ではいろいろなものがよく見える,ということはあるにしても,このレンズはその印象をうまく捉えている気がします。

ILCE-7S / HEXANON AR 40mm F1.8
F8.0, 1/60, ISO 200 (-0.7EV), WB (Auto)
Dec. 04, 2020
最後の一枚はあっさり系です。逆光の光源が画面にはいっていますが,手前の木で直射をすこし防いでいるのでそんなにひどいことにはなっていません。しかし,コントラストが落ちて全体にあっさりした感じです。

強い光に弱くてすぐにコントラストが落ちるので基本は露出アンダーで撮れ,という気がします。ただそうすると暗部があっさり落ちてしまったりするので,落ちた暗部をうまく活かせるような画を考えねばなりません。うまくいくと,一番上のカットの妙に濃厚な空気が撮れることがあります。

おもしろいけれど,使い方が難しいレンズです。

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