EF-M 11-22mm F4-5.6 IS STM (その4)

 Canon EOS M用のEF-Mレンズのなかではこのレンズが一番気に入っています。撮影が目的の旅行ならばいくらでも大きなカメラ,レンズを持っていくことができますが,出張のときはそういうわけにはいきません。でも,仕事の記録を残すためにカメラは必要です。そのため,Canon の1インチセンサーのコンデジであるPowerShot G7X (初代)を持っていくことが多かったのですが,とても広い画角が欲しい,と云うときに24mm相当の画角では足りなくて,レンズ交換式のカメラがあったらなぁ,と思うことがあります。

そんな状況になりそうなときにEOS M (初代)とこのレンズを持って行きます。ただ,そのような場合,標準域のレンズをどうしようかと悩むことになります。あともう1本,何を持っていくか,あるいは持っていかないか,は出張の目的によりますが,11-22mmは必ず持っていっています。というか,ほとんどカメラにつけっぱなしです。35mm判換算で18-35mm相当で18mmといえば超広角の扱いでしたが最近は普通に16mm始まりのズームレンズがあったりするのでちょっと広角ね,ぐらいの感じになっています。

それほど高価でもなく,小さく軽い超広角ズームレンズですが,よく写ります。

三陸沿岸に出張に行った帰りに田老港に寄ってきました。田老は明治29 (1896)年の明治三陸地震,昭和8 (1933)年の昭和三陸地震の津波で相次いで大きな被害を受けました。昭和9年から防潮堤の建設に着手し,第一線,第二線の二重の高さ10m,長さ2.4kmにおよぶ巨大な防潮堤が昭和53年に完成しました。これを万里の長城と呼ぶ人もいますが,この巨大な防潮堤をもってしても2011年の東北地方太平洋沖地震による津波を防ぐことはできず,一部は壊れてしまいました。

住民の高台移転などの津波対策の一つとして防潮堤の復旧工事が行われ,平成の終わり頃までに完成をしています。高さ10mの堤防は二階建ての住宅よりも高く,延々と続く様に圧倒されます。超広角レンズを持ってしても何をどのように撮ればこの堤防の威容を写止めることができるのか,己の技術の未熟さを実感させられました。

Canon EOS M / EF-M11-22mm f/4-5.6 IS STM
11mm, F9.0, 1/160, ISO 100, WB (0)
Nov. 20, 2021
田老港と市街を結ぶ道路が堤防を潜り抜ける陸閘(りくこう)です。復旧工事で陸閘の幅を広くするという改良をおこなったそうです。いざと云うときに陸閘を閉じるための扉も厚く巨大です。

Canon EOS M / EF-M11-22mm f/4-5.6 IS STM
11mm, F9.0, 1/160, ISO 100, WB (0)
Nov. 20, 2021
陸閘は2箇所にありますが,この写真は2号陸閘から見た堤内地(市街地)側の壁面です。まさに城壁という感じです。ここでも超広角レンズをうまく使いこなせていません。我ながら下手くそです。

Canon EOS M / EF-M11-22mm f/4-5.6 IS STM
11mm, F10.0, 1/200, ISO 100, WB (0)
Nov. 20, 2021
堤外地は港で魚市場の建物が港の最奥部にあり,その前にコの字型に岸壁が整備されています。天気がよかったため,自動露出ではガッツリ絞っていました。そのため手前から奥までほぼパンフォーカスになっています。

Canon EOS M / EF-M11-22mm f/4-5.6 IS STM
11mm, F11.0, 1/250, ISO 100, WB (0)
Nov. 20, 2021
田老港のコの字の海側の先端あたりです。対岸の防潮堤は山に突き当たって海と市街地を完全に分離しています。広角では,あともう一歩踏み込んで撮らないとどこか間抜けな絵になってしまいます。修行が足りません。でも,視覚を超える超広角レンズで撮るのはとても楽しいのです。

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