Heligon 35mm F2.8 (その2)

偕楽園の好文亭でのカットの続きです。ちょっと薄暗い建物の中でぼんやりと事物が見えるような,そんな画がこのレンズと妙にマッチしています。撮っているときにはそれほど思うところはなかったのですが,現像してみると階調が豊かなためか非常に表情に富む画になっていることに気がつきました。

実際の好文亭はもうちょっと明るくておおらかな感じがするのですが,なぜかHeligonは幽玄の空気を映し出していました。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A
35.0mm, F8.0, 1/125, ISO 4000 (-0.332EV)
Mar. 20, 2023, 09:20:08
高感度ノイズも少なくないし,絞っている割にはカチッとした写りではないのですが,画面全体になんだかえも言えぬ雰囲気がでています。暗部もよくみれば黒潰れしているわけではなく,梁などのディテールもちゃんと残っています。明部から暗部への階調のつながりは見事です。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A
35.0mm, F8.0, 1/500, ISO 320 (-0.332EV)
Mar. 20, 2023, 09:17:23
山茶花か椿かよくわかりませんが,斑入りの花がモノクロ写真にあっているような気がしました。もうちょっと寄りたかったのですが,背がたりず散漫な画になってしまいました。トリミングしたっていいんですが,撮ったままってことでいいかな,と。陽の光と影のコントラストがよい感じで,右側の暗部はなんだかゾワゾワした雰囲気が感じられます(私だけ?)。なんでもない光景に色々とストーリーをつけてしまいそうな画になりました。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A
35.0mm, F2.8, 1/60, ISO 8000 (-0.332EV)
Mar. 20, 2023, 09:41:20
好文亭の1, 2階を結ぶ階段を2階から見下ろしています。ピントは手すりの一番暗いところにあわせている,というなんだか何が撮りたかったのかわからない画です。開放ですがピント面は確かにシャープです。35mmなのに被写界深度がかなり浅く感じます。ゆるやかにボケた1階のたたみと陽射しがやわらかな印象を与えています。これまた,なんでもないのに何かを勝手に語りはじめそうな雰囲気です。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A
35.0mm, F8.0, 1/500, ISO 320 (-0.332EV)
Mar. 20, 2023, 09:28:46
好文亭から見るお庭です。濡れ縁の柱のエッジが妙にシャープです。明暗差が大きく露出が難しいところですが,空の階調を捨てて濡れ縁の天井の諧調を残すように現像してみました。ほんのりと見える暗部のディテールが建物の雰囲気を出しているように感じます。

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