Tamron 20-40mm F/2.8 Di III VXD (その8)


ILCE-7CM2 / E 20-40mm F2.8 A062
29.0mm, F2.8, 1/640, ISO 100, WB (Auto)
May 29, 2025, 09:07:43.395+09:00

これまでと違って,能書きを並べる前に1枚だけ画を置いてみました。

諸々あって奈良の平城宮跡へ行きました。当然のように本来の目的があるから遠路,奈良まで行くわけで写真を撮ることは目的ではなく,オマケですらありません。なので,あまり大きなカメラは持っていけないと思いつつ,Sonyのa7ciiにTamronの20-40mm F2.8をつけて持ちだしました。これは小さくて軽いフルサイズカメラでレンズもF2.8にしてはコンパクトだからオッケー,という意味不明の言い訳を(自分に)して。

実際は平城宮跡の写真はなくてその近くの路地を散歩しながら撮った写真を並べています。平城宮跡には大極殿とか朱雀門とかいろいろと素敵な建物が復元されていますが,散漫な感じでそもそもシャッターを切る気力がでなくて普通の人が写真を撮るような場所では手ぶらのまま撤退しました。

平城宮跡では大極殿が一番最初に復元されましたが,普通に考えて耐震性能はゼロに近い構造なので(柱ばっかりで壁がほとんどない),免震構造にするという話になっていてそのための地盤調査の仕事を手伝ったりしたのが昨日のことのように思い出されます。

免震構造は固有周期を長くとらなくてはならないので,地盤の深い構造に起因する地盤の固有周期がどのくらいかを正しく知る必要があります。奈良盆地北部では基盤までの深さが600 mくらいでこの基盤よりも浅い堆積層の震動の周期が免震構造に影響を及ぼすだろうと当時,考えていました。深いボーリングを掘る予算はどこにもないので,微動探査をやったのですが,日が暮れてから早朝まで,平城宮跡の南端をかすめて通る近鉄奈良線の電車が動いていない時間を狙って微動を測りました。夜中に雨が降ってきたりして散々な目にあいましたが,それでも大極殿の建設予定地点直下の速度構造をそれなりに合理的に推定をすることができました。その結果どうだったか,という話はずいぶんと昔に論文に書いていたりします。

この日の写真はILCE-7CM2 + Tamron 20-40mm F2.8で,いつものようにjpeg撮って出しです。

最初のカットは開放ですが,ピント面はきっちり解像していてとてもシャープです。広角なのでボケの量は多くありませんが,背景にむかって自然に滑らかにボケています。さすが現代のレンズです。

ILCE-7CM2 / E 20-40mm F2.8 A062
31.0mm, F2.8, 1/400, ISO 100, WB (Auto)
May 29, 2025, 08:55:09.980+09:00
このあたりは古い家も多く,細い路地が入り組んで通っていてなんとなく趣があります。それをうまく画にすることができず,なんかただの壁の写真になっちゃったりしています。この画でなぜ開放で撮ったのか自分がよくわかりませんが,もうちょっと絞ろうよ,と過去の自分に言ってしまいます。広角といえども被写界深度は結構浅くてピント面以外はぼけてます。奥の壁からはみ出している木の葉は中途半端なボケかたでなんかドロっとした怪しい感じになってしまいました。もっと絞らなきゃダメだよなぁ。

ILCE-7CM2 / E 20-40mm F2.8 A062
40.0mm, F2.8, 1/640, ISO 100, WB (Auto)
May 29, 2025, 08:48:20.565+09:00
白壁の上にもちゃんと瓦がかかっていて棟瓦も載っています。和風の王道をいってます。瓦の隙間から木が生えていたので思わずとりました。瓦の表面のざらっとした感じや葉っぱのゴワゴワした感じなど,質感がよく再現されているように思います。ピント面は気持ちのよい解像感です。きっちり写ってる,ということにとても安心できます。

ILCE-7CM2 / E 20-40mm F2.8 A062
29.0mm, F2.8, 1/800, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
May 29, 2025, 09:07:50.957+09:00
結局,このページのカットは全部開放でした。絞らなくてもシャープなのでうっかり開放のまま撮っちゃってた,という感じです。構図を何も考えてないだろう,と言われればそのとおりです。このカットもピントがきている花のシベは繊細にきっちり解像しています。ピント面のすぐ後ろは葉の隙間が点光源になっているようで小さな円形のボケがたくさん写っています。等倍で見ないとわからないくらいの小さなボケです。円形ボケといってもボケの輪郭がはっきり見えるシャボン玉ボケになっています。シャボン玉ボケの内部は均質で年輪は見えないのでうるさく感じることはありません。背景に向かって滑らかにボケていくのは最初のカットと同様です。背景の建物の格子窓も二線ボケにならずうるさくありません。

超広角域から標準域までのズームでこんなにちゃんと写るというのはひと昔前には想像もできませんでした。ただ,Tamronからは16-30mm F2.8というさらに広角寄りのズームが登場したので20-40mm F2.8との棲み分けに微妙な感じがあります。個人的には標準域がたくさん使える20-40mmのほうが好みです。

というわけで仕事のついでにカメラとレンズを連れていくにはよいコンビだと思います。

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