はじめに

カメラ遍歴などを少々。

本業が地震防災で,地震があると被害調査に行っていろいろ写真を撮ってくる,というのは重要な仕事でした。お仕事用に当時,視線入力のAFがはじめて採用されたCanon EOS 5 (5Dではない!)をがんばって買いました(もちろん自分のお小遣いで)。1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)よりも前は比較的局所的な地震被害が多かったのですが,それでもEOS 5でフィルムを湯水のように使って写真を撮っているうちに写真そのものにはまっていきました。1995年の兵庫県南部地震のときにはEOS 5とそのキットレンズであったEF 28-105mm f3.5-4.5 USMは埃まみれになって活躍し,私の期待に応えてくれました。

私の場合,地震の被害の写真を撮ることは,センセーショナルな報道が目的ではなく,なぜそのような被害に至ったのかを物理的に考察できるような写真を残すことが目的です。その後,いろいろなところでこの地震による被害の報告がとりまとめられましたが,EOS 5 + EF 28-105mmで撮った写真は研究者向けの資料に多く残されています。仕事用には,ある意味,高価なレンズはまったく不要で,兎に角,確実に簡単に撮れることが重要でしした。道楽としては単焦点レンズをいくつか持っていましたが,こういう仕事の現場ではとても使えないので,便利な安物(?)ズーム一本勝負でした。

仕事はEOSでしたがプライベートではpentaxでした。これは父の影響です。父は小さな会社で通販のカタログ作成から販売までの仕事を一人でやっていたため,写真を撮ったり説明の原稿を書いたりしていました(もちろん発送作業や経理も)。写真は借り物の中判か,自前のpentax LXを使っていました。実家にはMEとかLXとかが転がっていましたが,なぜかレンズはpentax-m 50mm f1.4くらいしかありませんでした。どうやって仕事をしていたのか今から思うと不思議です。フィルムはいつもエクタクロームでした。遠い昔にはコダクロームを使っていたようですが,さすがに感度が低くて使いにくく,エクタクロームに乗り換えたようです。そもそもなぜ富士フィルムじゃなかったのかは謎です。

私自身はフィルム時代にはEOS 5とLXを使っていたわけですが,LXで撮った写真のピンボケは酷く,ファインダーでピント合わせがまったくできませんでした。これは単なる修行不足ですが,それでもピントの山が掴みにくいpentaxの一眼レフのファインダーはどうなんだろうと今でも思っています。当時,Nikonのあまり高価ではない一眼レフのファインダーを覗かせてもらって,LXとの違いに愕然とした記憶があります(もちろんNikonのほうが圧倒的によかった)。

結局,目をつぶっていてもそこそこピントがくるAFのEOS 5ばかりを使っていた,というのが正直なところです。しかし,EOS 5は今ではすっかりカビだらけでボロボロですが,LXはきちんとメンテナンスをして,たとえ使わなくても良い状態を保てるようにしています。エレキ主体のカメラとメカ主体のカメラへの愛着の違いかもしれません。あれほど世話になったEOS 5に邪険にしている自分も随分とひどいやつです。

そんなわけで,EOS 5の全盛時代に時々思い出したように父が遺したLXを持ち出して細々と使ってはいましたが,ピントはボロボロでピンボケ写真を量産していました。はっきり言って写真を撮る気が失せるほど下手くそでした。構図以前の問題です。LXの最後の記念モデル(たぶんLX2000)と共に発売されたブライトマットに交換してようやくマット面でピント合わせができるようになりました(サードパーティも含めて色々なスクリーンに交換しましたがどれもうまくピント合わせができませんでした。これは単に己の技術不足によるものです)。

デジタルがメインになってデジタル一眼レフが各社から発売され始めたきたときにどのマウントにしようかと一瞬考えましたが,どういうわけかcanonを使うと云う発想はでてきませんでした。なぜか,pentaxからistDSがでたときにデジタルはpentaxで行こう,と決めたのです。理由はよくわかりません。手持ちのレンズは明らかにcanon EFのほうが充実していたはずです。この当時の手持ちのKマウントのレンズは父のsmc pentax-m 50mm f1.4, あとは中古で買ったレンズばかりです。パンケーキで有名なsmc pentax-m 40mm f2.8,smc pentax-FA 28-70mm f4, smc pentax-FA 20mm f2.8, smc pentax-FA 50mm f1.4, なぜかsmc pentax 135mm f2.5, smc pentax-FA☆ 85mm f1.4くらいしかありませんでした。APS-Cセンサーではどれも使いにくい焦点距離で,20mmが日常的になんとか使えるかな,という感じでした。

ただ,LXが好きだったことは間違いありませんので,これがpentaxを使う理由になっていました。その後,K-7を導入したもののgpsユニットのO-GPS1は次のK-5からの対応で被害調査でどこでどちらを向いて写真を撮ったか,というとても重要な情報をexifに残せないためにK-7は出動の機会が非常に少なくなってしまいました。

フィルム末期にはコンパクトカメラにも色気を示して,あれこれ買ったような気がします。手元に残っているのは京セラのSlim TとリコーのGR1sです。Slim Tは確かによく写りましたが,これもピンボケを量産していました。GR1sも随分と使いましたが,近接での撮影はやはり苦しいものがあっていかにもダメダメな写真ばかり撮っていました。そういう使い方をしてはいけないのでしょうけれど,やはり寄りたいこともあるのでそういう失敗を重ねてばかりいました。

その後,EOS mが発売になり,これも自分でもよくわからないのですが,機会到来と捉えて初代EOS mを導入しました。このカメラは外付けGPSユニットをホットシューにつけることができた,ということと,純正のマウントアダプターでEFレンズが使えるということが導入の強い動機でした。お仕事で使うときには位置情報は非常に重要なのでGPSは必須だったのです。

EOS mは悪いカメラではありませんでしたが,AFが遅い,電池の消耗が早い,というのには閉口しました。ファームウェアのアップデートである程度AFの遅さは解消しましたが,最近のミラーレスとはもはや比較することさえ気恥ずかしいレベルです。でもなぜかこのカメラも発売直後に入手してそのままアルメニアでの仕事に連れていっていきなり酷使しました。しかし予備電池の調達が間に合わなかったために,現場で電池切れ,などという情けないことになってイマイチでした。

それでも,交換レンズは使いたいけれど荷物を軽くしたい海外出張では今でもよく持ち出しています。レンズもイマドキのような無闇に高級なレンズではないため,気がついたら,レンズも広角ズーム,標準ズーム,高倍率ズーム,広角単焦点とマクロとそこそこ揃っていたりします。

フルサイズ一眼レフのpentax K-1が出た時,迷わず導入しました。もちろんお仕事用です。GPS内蔵というのは私にとって重要なポイントでした。使ってみるとフルサイズのレンズがその画角できちんと撮影できることのありがたさを再確認しました。仕事ではTamronのSP AF 24-135mm F/3.5-5.6 AD ASPHERICAL [IF] 一本やりです。古い設計のレンズですが,ある意味万能レンズです。仕事で使うには最適ですので数少ないpentaxマウントの中古を探して入手しました。

もちろん,K-1 Mark IIがでたときには迷わずアップグレードしました。高感度耐性があがるということはとてもありがたいことで,これも仕事用に(もちろん,仕事以外にも)申し分ない機能です。日が暮れてからも現場の調査をすることは少なくありませんから,そんなときにもきちんと写真が残る,ということはとても重要です。

K-1はたぶん,pentaxのなかでは一番まっとうなファインダーではないか,と思っています。LXは当然として,K-7などはまったく次元が違うファインダーになったと思います。ミラーレス前夜になって,一眼レフの老舗であるpentaxの一眼レフがついに完成の域に到達した,ということなのかもしれません。

レンズは中古がほとんどでしたが,私の中でクラシカルなレンズはsmc pentax 135mm f2.5くらいなもので他はごく「普通」のレンズ,という認識でした。それがひょんなきっかけで古いレンズの沼にはまり込んでしまいました。

ふと血迷ってsuper takumarの50mm f1.4の8枚玉をヤフオク!で落としてしまったのが間違いの始まりでした。なぜ,8枚玉を買おうと思ったかというきっかけは,digicame-infoの記事にこのレンズは結構いいよね,という記事が転載されていたからです。7枚玉と違ってちょっとレア,酸化トリウムを含んでいないのでブラウニング(黄変)しない,ちょっと重い,赤外線指標の位置がちょっと違う,とかいう細かい違いが妙にうれしくて無意味に探して無意味に落札してしまった,というお恥ずかしい動機です。

黙っていてもM42やPKマウントの古いレンズが現代のpentaxのボディで使えます。K-1でさえも最小限ですが対応可能です。M42 - PK変換のpentax純正アダプタも大幅値上げされるときに慌てて購入していました。フィルム時代からのpentaxユーザーですから,当然のようにM42も使えると云う認識でした。

ところがこれもはずみでsony a7sを導入し,さらに動物瞳AFが使いたくてa7iiiまで導入したものですからM42やPKである必然性はまったくなくなってしまいました。タガが外れた,とでもいえばよいのでしょうか。

最初のうちはM42かPKの標準レンズと範囲を絞って道楽が発散しないようにしていたはずなのですが,a7sを導入したあたりからタガが外れてしまっていました。気がついたら手元にはALPAやContarexのレンズがあって,もはやなんの制約ありせん。そうなるとあとは無節操になって次々にマウントが増えていきます。しかも,国産の古いレンズは安い。ミノルタSR,コニカARはコストパフォーマンスがよいのであっという間にジャンクレンズが増殖してしまいました。ついでにDKLマウントも...。

一応,焦点距離は標準レンズということで35mmより長く(35mmを含まない),60mm以下としていておおよそのルールを守って道楽の発散に制限をかけています。しかし,これも手持ちのレンズをよくよく見てみるとContarex sonnar 85mmとかHexanon AR 28mmとかが混じっています。

すでになんの節操もなく混沌としている,というのが現状です。

混沌としためくるめく道楽世界のなかで,手持ちのレンズで撮った写真を並べておこう,というのがこの絵日記,もとい,photo logです。もともとが混沌から始まっているので当然のことながら,なんの節操も脈略もありません。誰が読む,というアテがあるわけでもないので何か整然としたものを求められても困ってしまう,まさに独り言の殴り書きです。

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