KERN-MACRO-SWITAR 50mm F1.8 AR

 Kern Aarau KERN-MACRO-SWITAR 1:1,8/50 AR (中期型-I)

マウント:ALPA
焦点距離:50mm
開放F値:1.8
絞り羽根:9枚
レンズ構成:5群7枚
最短撮影距離:0.28m
フィルター径:専用Bタイプ(48mm)
質量:282.0g (実測値)

泣く子も黙るmacro switarです。

大きく分けて3つのバージョンがあって,マクロじゃないswitar F1.8, 最短撮影距離が短くなったmacro switar F1.8, そして,なぜか開放F値が暗くなったmacro switar F1.9です。これ以外に,F1.8のmacro switarにはF1.9と同じ5群8枚のモデル(マクロじゃないswitarとその後のmacro switarは5群7枚構成)があるようです。

Alpaのカメラとレンズは高価だったために,たいていのレンズの製造数が極端に少なく2桁とか3桁数しか製造されていないレンズがザラにあります。そのなかにあってmacr switarはカメラにキットレンズ(?)としてくっついてきた,というかAlpaカメラを買った人は1本はレンズが必要で,そのなかの多くの人が購入した,と想像されます。そのため,Alpaマウントレンズとしてはかなり数がでています。しかし,それにもかかわらず,現在の相場はとても高価です。

このレンズを入手したのはだいぶ前ですが(といってもせいぜい2年くらい前),そのときでも十分に高価でした。しかし,最近は私が入手した金額の2倍近い値段が平気でついていたりします。

ヤフオクに出ていたジャンク扱いという個体を目を瞑って落札し,本体を見るのも恐ろしくて某マエストロにそのままオーバーホールをお願いしました。少しバルサム切れがあって,製品寿命ギリギリ勝負みたいな個体でしたが,マエストロの力で蘇って普通に気持ちよく使えるレンズになりました。

そんなわけで,先日go toキャンペーンを使って行ったペンションの飾り棚に置かれている小物をモノクロームで撮ってみました。モノクロを撮るときに絶対に必要なフィルターワークという概念が頭に入ってなかったので素通し(実際にはUVをつけてますが)です。カメラ内蔵の画像処理エンジンはかなり優秀なようで,ほどよいコントラストでもっともらしい絵を出してきますので,自分でraw源蔵をする必然性も動機も大幅に下がってしまいます。

と言いつつ,モノクロの世界は奥が深く,いろいろ遊んでいると十分にハマってしまう世界です。

大口径でかつ1/3倍まで寄れるため,近接では被写界深度が極端に狭くなり,ボケだらけ,という写真がとれます。主題を強調することが簡単な反面,ピント合わせが難しく,手持ちでは体が少しでも動くとピンボケになってしまいます。しかし,うまくピントがあえばなんだか凄そうな写真がとれるのです。macro switarのなだらかなボケは確かに他に得難い世界だと思います。

このレンズに関するウンチクはこちら

以下,Leica M Monochrom (Typ 246)でjpeg撮って出しです。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / KERN-MACRO-SWITAR 1:1,8/50 AR
F1.8, 1/30, ISO 500 (-0.664EV)
Oct. 01, 2020
ただのカボチャやピーマン(パプリカ?)の置物が妙に生々しく見えます。macro switarはアポクロマートレンズなので色にじみがないことがモノクロームで撮っても有効に働いているのかもしれません。大きなボケで色ズレがあると一般には煩くなりますから,これだけボケる場合にはたとえモノクロームであってもアポクロマートレンズであることは重要だと思います。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / KERN-MACRO-SWITAR 1:1,8/50 AR
F1.8, 1/60, ISO 640 (-0.664EV)
Oct. 01, 2020
ボトルのラベルの文字から被写界深度が非常に薄いことがよくわかります。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / KERN-MACRO-SWITAR 1:1,8/50 AR
F1.8, 1/30, ISO 400 (-0.664EV)
Oct. 01, 2020
なんということもないのですが,何かよくわからない説得力があります。contax Cマウントのzeissの古いレンズもモノクロで撮ると有無を言わさぬ説得力がありますが,このレンズもベクトルは違いますがそういう力を感じます。

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