HEXANON AR 57mm F1.2

 KONICA HEXANON AR 57mm F1.2

マウント:AR
焦点距離:57mm
開放F値:1.2
絞り羽根:6枚
レンズ構成:6群7枚
最短撮影距離:0.45m
最大撮影倍率:
フィルター径:62mm
質量:463.32g (実測値)

まったくといってよいほど見向きもされないKonicaのARマウントレンズにあって,高い人気を誇る数少ないレンズの一つがこの開放F値が1.2の大口径標準レンズです。

このレンズについては,こちらのページに詳しい解説がありますが,レンズの登場時期については私の理解とは少し異なっています。この当時,F1.2の大口径標準レンズの最短撮影距離は60cm程度が普通でしたので,HEXANON 57mm F1.2の最短撮影距離45cmは例を見ない素晴らしいスペックだったと言えます。最短撮影距離の違いは撮影の自由度を大きく左右するのでコニカがこの部分に頑張ったことは称賛されるべきだと思います。

手元の個体はEEタイプで銀色の絞り環を有する第一世代のモデルです。第一世代のモデルでもアトムレンズがあるようですが,手元の個体ではブラウニングはあまり気になりません。アトムレンズでないものもあったようなので,そのような個体なのかもしれません。

ただ,この個体を使ってみたところ,大幅なアンダーインふで無限遠がまったく出ないことがわかりました。ひょっとすると,過去にメンテナンスをされていてその際に紫外線照射によってブラウニングが軽減されていたのかもしれません。いずれにしても,過去のメンテナンスの際に正しく組み立てられていないことは容易に想像されます。

大きく重いレンズなので,そもそも持ち出すまでのハードルが高いのですが,せっかく持ち出しても無限遠がでない,となるとかなり萎えます。まずはメンテナンスにださないと使う気力がでてきません。近接を中心に撮ったカットをいくつかあげておきます。

このレンズに関するウンチクはこちら

以下,ヘリコイドつきのLeica M --> Sony Eマウントアダプタを使ってHEXANON AR 57mm F1.2 + Sony a7sで,いずれもjpeg撮って出しです。

ILCE-7S / HEXANON AR 57mm F1.2
F1.2, 1/400, ISO 100 (-1EV), WB (Auto)
Feb. 28, 2021
ずいぶんとあっさりした色です。開放ではかなり滲んでいてピント面がいまひとつよくわからなくなっています。等倍でみてどうこう言うようなレンズではないでしょうし,ピント面の解像感はあるので,これは味がある写り,と見るべきでしょう。こういう写りが気に入らなければ,新しいイマドキのレンズを使う方がずっと幸せになれるわけですし。

ILCE-7S / HEXANON AR 57mm F1.2
F1.2, 1/8000, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Feb. 28, 2021
中距離で開放です。F1。2のはずなのに随分と被写界深度が深く感じられます。ピントは石畳の模様が異なる部分の中央付近を狙っているはずですが,カミソリの刃のような被写界深度を期待すると全然違います。中距離だからということを差し引いても大口径レンズっぽさが今ひとつな気がします。背景のボケもなんだかドロドロしていてあまりきれいではありません。

ILCE-7S / HEXANON AR 57mm F1.2
F11.0, 1/200, ISO 100, WB (Auto)
Feb. 28, 2021
がっつり絞って遠景です。普通は無限遠で撮るところですが,無限遠がでないので,絞って被写界深度を深くしてなんとかピントが来ている,という画です。絞るとかっちりと写って開放のときのようなふわふわした感じはなくなります。昔のレンズらしい特性です。青空に埃の影が写り込んでしまうのはお約束としてみなかったことにします。銅の屋根とレンガ風味の壁の質感の違いもよくわかります。

ILCE-7S / HEXANON AR 57mm F1.2
F2.0, 1/5000, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Feb. 28, 2021
1.5段絞っています。ピントは下側の外の花弁の縁あたりにきています。アウトフォーカス部分が柔らかくボケているため,ピント面の立体感は相当なものがあります。等倍で見ると少しカラーフリンジが出ていることがわかります。このくらいの光の状態であれば一生懸命探さないとわからないレベルだと思いますが,もっと強い光のもとでは色収差が気になることがあるかもしれません。F2くらいまで絞ると柔らかさとシャープさがほどよく同居しているようで雰囲気のある画になるように思います。

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