TELENAR 13.5cm F5.6 (その4)

Roeschlein KreuznachのTelenor 13.5cm F5.6は今回でひとまず終了です。また次回からはKonica Hexanon AR 57mm F1.4に戻ります。 

このレンズはもともと開放F値が大きい(暗い)ので大きなボケは期待できないのですが,なんだか不思議な立体感のある画になるように感じます。

解像度がとても高くてピント面はカリカリに解像し,背景はバターのように滑らかにボケるようなイマドキの高性能レンズならば,解像部分とボケの対比から立体感を感じるということはなんとなく納得できてしまいます。しかし,このレンズは明らかに解像度は低くて等倍で見るまでもなく甘い描写です。しかも開放F値が大きいため背景のボケもトロトロにはなりません。それなのになぜかピント面には解像感があって被写体が背景から浮き上がるような錯覚を持ってしまうのです。

私が普段,標準レンズかそれより広角なレンズばかり使っていて135mmという画角と圧縮効果にあまり慣れていないからそのように感じるのかもしれません。私にとってはとても不思議な感覚を持たせてくれるレンズです。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / TELENAR 1:5,6/13,5cm
135.0mm, F8.0, 1/180, ISO 2500 (-0.332EV)
Feb. 23, 2022, 16:53:44
1段ほど絞っています。絞り環にクリックストップがないうえ,絞り指標と絞り環がずれているので,開放と最小絞り以外の絞り値はまったくわかりません。絞り環に刻印された絞り値の間隔からおよそのところで1段ほど絞ったかなと信じているだけです。ISO感度が2500にもなっているので実際には1段以上絞ってしまっていたのかもしれません。実際にどのくらい絞っていたのかはよくわかりませんが,絞れば画はそれなりにシャープになっているように見えます。ただ,ISO感度が高くなった分,ノイズがでてしまっています。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / TELENAR 1:5,6/13,5cm
135.0mm, F8.0, 1/90, ISO 320 (-0.332EV)
Feb. 23, 2022, 16:44:28
1段ほど絞ったカットをもう1枚。手ブレしているのかもしれませんがピントが来ているところがどこかよくわかりません。手ブレするくらいなら絞るな,って話なのでこれも立派な失敗例ということになります。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / TELENAR 1:5,6/13,5cm
135.0mm, F5.6, 1/1000, ISO 320 (-0.664EV), Y2 filter
Mar. 12, 2022, 10:34:51
これは春の日差しがうまく写っているように思います。中央の梅の花にピントをあわせたつもりですが,甘いです。しかし,ピント面の立体感はちゃんとあります。隅の画像はボケが荒いですが,大きく流れるようなこともなく思ったより普通に写っています。

LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / TELENAR 1:5,6/13,5cm
135.0mm, F5.6, 1/1500, ISO 320 (-0.332EV), Y2 filter
Mar. 12, 2022, 11:08:27
このレンズによる作例のひとまずは最後のカットです。ヘリコイドアダプターで最短撮影距離よりも近づいています。なぜかこのカットはピント面の画が妙にシャープです。シャープじゃないカットは手ブレなのか?,と少し不安になりますが,ひとつ前のカットは甘いですが1/1000のシャッタースピードですからさすがに手ブレはないと思います。このカットでは被写体と背景との距離が大きく離れているので背景もそれなりにボケています。しかし,うるさいボケ方です。これだったら背景が何かが分かる程度にちょっとだけボケてくれたほうがまだよいように思います。背景のぼかし方のコントロールも結構難しいレンズです。それほど多く撮ったわけではありませんが,このレンズによるカットからいろいろな意味で楽しめるレンズだということはよくわかりました。

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