Carl Zeiss Planar 50mm F2 (Contarex) (その3)

Contarex用Planarで富士山,の最終回です。それほど多くのカットを撮ったわけではありませんが,Planarの実力の片鱗を見ることはできたような気がします。階調,柔らかさ,シャープネス,コントラストの絶妙のバランスからくる自然な写りが持ち味のレンズです。「王」を名のるContarexの最も重要な相棒として,まさにZeiss Ikonの威信をかけたレンズだったのだと思います。このレンズを見ているだけで酒の1本くらいは軽くあけられそうです。

ネット上にはKernのAlpa用レンズであるMacro Switar 50mm F1.8は演出が過ぎ,写実性ではContarex用Planar 50mm F2こそが真の標準レンズである,と強硬に主張して譲らない,というような人もいるようですが(どこでそれを読んだか忘れましたが),私自身はMacro SwitarもPlanarもどちらが優れていて劣っているというような話ではなく,どちらも目指した方向で究極の画を吐き出すレンズだ,という認識です。ネットではそういう主観に基づいて他人をやたらと批判する人がいやでも視界に入ってくるのでなんだか悲しくなります。だから,どうだ,という話はありませんが,住みにくい世の中になったものです。

話がつまらぬところにそれましたが,ひとまずPlanar 50mm F2は今回が最終回です。王の名に恥じないとても素晴らしいレンズだと思います。

ILCE-7S / Planar 1:2 f=50mm
50.0mm, F2.8, 1/2000, ISO 100, WB (Auto)
Apr. 10, 2023, 09:13:07
一段絞ってますが近接撮影なので背景は何が写ってるかわからないくらいボケてます。ちょっとトロッとした粘り気のある空気が写ってます。実際は爽やかな朝だったはずなのですが。等倍でみたりすると甘いのですが(単なるピンボケかもしれないけど),なぜか立体感のある写りです。解像度が高いと立体感が感じられることが多いのですが,それとはちょっと違う方向を向いているように思います。解像感と立体感が必ずしも相関していない,そんな感じです。

ILCE-7S / Planar 1:2 f=50mm
50.0mm, F8.0, 1/500, ISO 100 (-0.3EV), WB (Auto)
Apr. 10, 2023, 10:27:35
ちゃんと絞ってちゃんと無限遠にピントを合わせるととてもシャープです。富士山の中腹の会長もなんとなく感じられてみたときの印象をよく伝えていると思います。手前のボケもうるさくありません。

ILCE-7S / Planar 1:2 f=50mm
50.0mm, F8.0, 1/500, ISO 100, WB (Auto)
Apr. 09, 2023, 15:46:52
いかにも下手くそな画ですが,レンズの力に助けられているような写りです。絞ると気持ちのよい,清々しい感じのピント面です。

ILCE-7S / Planar 1:2 f=50mm
50.0mm, F11.0, 1/60, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Apr. 09, 2023, 16:15:16
最後は富士山です。ちょっと狙いが曖昧で,かつ,ピントも甘かったうえにちょっと露出もオーバー気味です。結果としていつものように冴えない画になってしまいました。でも,なんか日常の富士山,って感じが悪くないと思って残しました。

このレンズを使っていると写真がうまくなったような錯覚を持ってしまいます。それはたんなるプラセボ効果と気のせいかもしれませんが。

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