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Carl Zeiss Sonnar 1:2 f=85mm
マウント:Contarex
焦点距離:85mm
開放F値:2
絞り羽根:9枚
レンズ構成:3群7枚
最短撮影距離:0.80m
最大撮影倍率:
フィルター径:49mm
質量:383.0g
Sonnarは1929年にベルテレ博士によって発明されたレンズ構成で,コーティングが発明される前の時代に,空気とガラスの境界面を可能な限り減らして収差を補正し,大口径を実現するものでした。貼り合わせレンズにより,わずかに3群に抑えていることが特徴です。Contaxレンジファインダー機の時代には,F1.5の50mm標準レンズ,俗にいう,イチゴのゾナーはSonnarタイプの設計思想が存分に活かされたレンズと言えると思います。3枚貼り合わせレンズが2群と1枚の前玉の組み合わせという3群7枚構成のSonnarはこの85mmにも引き継がれています。
モノコーティングが実用化されると,レンズ群の数を少なくして空気とガラスの境界面を減ずることの意味は次第に薄れてきますが,Zeiss Ikonの超高級カメラであるContarexには,85mmと135mmのSonnarがラインナップされました。特に,85mm F2は,コントラスト,階調,ボケ,発色,大口径が高度にバランスした,絶妙の設計で究極のSonnarとの呼び声も高いようです。Zeiss Ikonはこのレンズの設計に力を入れたのだろうと思われます。1958年の最初のContarexとともに登場し,Zeiss Ikonがカメラ事業から撤退する1973年まで製造が続けられました。その間の15年間に7585本が出荷されたようです(Wikipediaによる)。単純計算で月産50本にも満たず,工業製品として成立するとはちょっと思えないような数字です(もちろん,まとめて生産しておいて在庫を少しづつ出荷していたのでしょうけれど)。
実際,よく写るレンズだと思います。もちろん,よいレンズだというプラセボ効果も多分にあるのでしょうけれど,ボケも自然で滑らかなので積極的に開放を使いたくなります。前回までのDistagonとはあからさまに方向性が違うところがあって,同じZeiss Ikonで設計されたにもかかわらず,これほどまでに個性の違いがはっきりでる,というのは実に興味深いことです。
手元の個体は,前期型の銀鏡筒のもので,比較的コンディションのよい個体でしたが,某マエストロにメンテナンスをしていただいたものです。ただ,絞り羽を動かす部分(鏡筒内部)が変形していてマウントアダプタに装着したり外したりしているうちに絞り羽と噛み合わなくなってしまい,結果として絞り羽が動かなくなる,という致命的な欠陥を抱えていました。これは以前に誰かがメンテナンスしたときに適当な処置をした結果だと考えられ,如何ともしがたいものです。
以下,Sony α7sにアダプタを使って装着し,jpeg撮って出しです。
ILCE-7S / Sonnar 1:2 f=85mm 85.0mm, F2.0, 1/2000, ISO 100, WB (Auto) Apr. 10, 2023, 13:35:53 |
ILCE-7S / Sonnar 1:2 f=85mm 85.0mm, F2.0, 1/250, ISO 100, WB (Auto) Apr. 10, 2023, 13:23:19 |
こちらは桜です。桃を見にきたけど,桜もあるとそちらに目移りしてしまいます。微妙に,というか思いっきりピントをはずしていますが,右手前の花のあたりを狙ったはずです。背景はボケがうるさくなりそうな構図ですが,2銭ボケすることなく,とても滑らかです。
ILCE-7S / Sonnar 1:2 f=85mm 85.0mm, F8.0, 1/100, ISO 100 (+0.7EV), WB (Auto) Apr. 10, 2023, 13:39:23 |
ILCE-7S / Sonnar 1:2 f=85mm 85.0mm, F2.0, 1/1250, ISO 100 (+0.7EV), WB (Auto) Apr. 10, 2023, 13:35:21 |
ふたたび開放です。最短撮影距離付近で撮っています。ピントがちゃんときていれば開放でも十分にシャープかつ繊細で柔らかい線が描かれています。さすがに背景はトロトロにボケていますが,ピント面から後ろへむかって滑らかにボケていく様子は自然で説得力があります。Zeissのレンズにたまにみられる,あの,有無を言わさず見るものを引き込む力があるように思います。最初,撮っているときはファインダーを見てもそれほどの感動はなかったのですが,あとから整理をしながら見ていると,画の強さに引き込まれてしまいます。私のようにヘタクソが撮ってもそれなりに見えてしまう,ということは,誰が撮っても素敵な画が撮れるんじゃないか,という気がしてきます。恐るべしZeiss。
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