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Rodenstock Heligon 1:2,8 f=35mm A
マウント:L39
焦点距離:35mm
開放F値:2.8
絞り羽根:10枚
レンズ構成:?群?枚
最短撮影距離:1.0m
最大撮影倍率:
フィルター径:22.5mm
質量:g
HeligonはRodenstockがダブルガウス型のレンズにつけた銘です。一眼レフ用のレンズは50mmより広角になるとバックフォーカスを稼がねばならないためにレトロフォーカス型を採用するのが一般的で,Rodenstockも一眼レフ用のHeligonは50mmより広角のものはありません。しかし,レンジファインダー用レンズならバックフォーカスを長く撮る必要もないので35mmでも普通にガウス型のレンズがいろいろとあり,Rodenstockも35mmのHeligonをラインナップしていました。
Rodenstockは当初ライカ判用の交換レンズをいくつかのマウントで供給していましたが最も多くのレンズを供給したのはデッケルマウントのレチナ用だったと思われます。それ以外にはM42とエグザクタマウント,Robot用のレンズが少しずつあります。レンジファインダーカメラ用にはライカのスクリューマウント(L39)のレンズとしてこの35mm F2.8がほぼ唯一だと言われています。L39マウントには50mmの量産試作品がごくごく少数だけ市場に出たとの話もあるのですが,私はいまだかつて見たことがありません。L39の50mmは超がつくような幻のレンズなのでしょう。
上に挙げたマウントのレンズには焦点距離は異なっていますが,全てのマウントにおいてHeligonがラインナップされていました。M42, エグザクタ,デッケルマウントには50mmが,Robotには40mmが,そして,L39には35mmがありました。いずれも市場にでた数は多くないと思われます。
L39マウントのHeligonがいつ登場したのかはっきりわかりませんが,1950年代の半ばごろかと思われます。周辺光量落ちはかなり多いのですが,階調が滑らかなので自然な感じで写ります。中央の解像度はとても高いという意見もありますが,私の手元の個体の問題なのかどうかわかりませんが,モノクロ時代のレンズらしく解像度よりも階調に性能を振っているように感じます。もちろん解像感が低いわけではありません。むしろ十分な解像感を示していると思います。
周辺光量落ちはかなりガッツリ落ちますが,滑らかに落ちて行くためか,独特の雰囲気を見せてくれます。このレンズの写り具合を「怪しげなる空気感」と評している人がいますが,まったくその通りだと思います。
以下は,Leica M Monochrome (Typ246)にL-M変換リングを介してHelikon 35mm F2.8を装着して撮ったものです。ほとんどのカットはdarktableで源蔵していますが,ごく一部にjpeg撮って出しが混じっています。
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LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A 35.0mm, F2.8, 1/15, ISO 8000 (-0.332EV) Mar. 20, 2023, 09:40:01 |
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LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A 35.0mm, F8.0, 1/60, ISO 2500 (-0.332EV) Mar. 20, 2023, 09:19:09 |
怪しげなる空気感,というのはこのような雰囲気を言うのではないでしょうか。ちょっと長いフードをつけていることもあって,画面の四隅がケラれているかもしれません。もともとの周辺光量落ちも大きいので,ケラれなのか,光量落ちなのかもはやよくわからん感じです。絞っている割にはどこにピントがあるのかよくわからず,全体に甘い写りです。襖全体になんとなくピントがきているようにも見えますが,これでいいのか,ってとおろはあります。床面の反射や天井の暗部など暗部も階調が滑らかで豊かです。レンズが作られた時代を考えれば当然なのかもしれませんが,モノクロ写真との相性は抜群だという印象です。
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LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A 35.0mm, F8.0, 1/125, ISO 320 (-0.332EV) Mar. 20, 2023, 09:28:15 |
廊下右手の柱にピントをあわせたつもりです。驚くほどシャープか,と問われればそうでもありませんが,暗部からハイライトまで階調のつながりは滑らかでよく粘っています。奥の庭はかなり暗かったと思いますが,ちゃんと雰囲気がでていますし,廊下のハイライトの眩しさもちゃんとでています。
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LEICA M MONOCHROM (Typ 246) / Heligon 1:2,8 f=35mm A 35.0mm, F8.0, 1/500, ISO 320 (-0.332EV) Mar. 20, 2023, 09:16:45 |
四隅は周辺減光というよりはフードによるケラれだと思います。さすがに古いレンズなのでフードはいるよな,と思ってつけてますが,ちょっとケラれてしまいました。ちなみにフードはA36のかぶせ式です。Leicaのフードなんて高くて買えないので2眼レフ用でイエローのシリーズフィルタがついたフードを世界の中古カメラ市で見つけたので確保して使っています。モノクロのときはやっぱりカラーフィルタが必要だろう,という思い込みが強いので。ピントがきている葉のエッジなどは驚くほどシャープです。また,葉の表面のテカテカした質感もとてもリアルです。構図はしょぼくて何を撮ってるのかよくわかりませんが,そんなことにはおかまいなく,写りはとても素晴らしいレンズであることがわかります。
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