HEXANON 52mm F1.8 (その2)

以前に一度,金比羅さんへ連れて行って以来,久しぶりの登場です。だから「その2」なのです。

1960年に登場したKonica Fはとても高価なカメラだったようですが商業的にはあまりうまくいかず,その後,1965年にAE機能を搭載したKonica Autorexが新しいARマウントで登場します。当初は,最初のコニカFマウントレンズをそのままARマウントに置き換えたようなレンズが供給されたようですが,手元の個体もそのころの比較的初期のARマウントレンズの1本だと思われます。

1960年代の中頃からぼちぼちカラーフィルムが庶民にも普及し始める頃ではないかと思いますが,このレンズがコニカFマウント時代の設計を引きずっているとすると,カラー写真よりはモノクロ写真を前提とした設計だったのかもしれません。

いずれにしても,当時の一眼レフ用レンズとしては,F1.8という中口径とはいえ52mmという他社にはない焦点距離の短いレンズは(当時は大抵の標準レンズは55〜58 mmだった),ミラーボックスがあるにもかかわらず40.5 mmというALPAマウントに迫る短いフランジバックのおかげだったのでしょう。

金比羅山で使ってみて時代を感じさせないシャープな写りが気に入ったので,改めてご近所のお散歩に連れて行っていろいろ撮ってみました。

以下,いずれもHEXANON 52mm F1.8 + Sony a7sで,いずれもjpeg撮って出しです。

F1.8, 1/250, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Apr. 03, 2020
ピントが狙ったところに来ていない気もしますが,グラデーションも滑らかです。アンダーな露出の割にはあっさりした色です。

F1.8, 1/800, ISO 100 (-0.7EV), WB (Auto)
Apr. 03, 2020
開放では口径食が目立って点光源が楕円型のボケになっています。ハイライトではフレアが感じられます。これはこれで雰囲気がでていて良いように思います。

F1.8, 1/4000, ISO 100, WB (Auto)
Apr. 03, 2020
レンガの並べ方のデザインが少し違う部分にピントを合わせていますが,リアルな質感です。後方のボケは少しざわざわするようです。この時代のレンズでシャープさを求めるとボケが今一つ,ということはよくある話ですし,そこらへんのバランスの取り方が設計者の感性だったのだと思います。このレンズの性質がシャープさに振られているということなのでしょう。

F1.8, 1/1250, ISO 50, WB (Auto)
Apr. 16, 2020
マウントアダプタのヘリコイドを使って最短撮影距離の45 cmよりも近づいているはずです。意外に破綻しないでちゃんと写っています。ピント面のシャープさも維持されています。余裕のある設計なのかもしれません。

F5.6くらい?, 1/320, ISO 100 (+1EV), WB (Auto)
Apr. 03, 2020
少しだけ絞っています。開放だと後方の建物がとろけてしまうので外形がわかるようにという,それだけのことです。少し絞っているため,ピント面はさらにシャープで背景との距離が離れているということもあって立体感があります。やはり色はあっさりというか地味な感じです。

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